藤森照信展@水戸芸術館

 

先日、水戸芸術館で行われた藤森照信展を拝見しました。

今まであまり藤森さんの作品に触れる機会がなかったので楽しみでした。期待を裏切らず、普通の建築家の展示とは異なり苔や荒々しい自然素材がそこかしこにあるふしぎなものでした。

まずは愛のあるディスりが入っている磯崎新さんの本展へに向けての文章が迎えてくれます。この文章は今回の展覧会をすごく捉えやすくしてくれます。

中に入ると写真と実物の椅子、その奥にはタイルが貼ってある車が。藤森さんの現代建築を原始的な素材で包むいわゆるハイブリットな状態が展示の内容にも現れています。

一見、素材に目が行きがちですがデザインのバランス、ディテールの細かさ、素材や技術に対する試行錯誤などが目を引きます。

氏の卒業設計などの展示もあり、いろいろと読み解いていく楽しさがあるまさに藤森さんの頭の中を探検するような雰囲気を受けます。

磯崎さんの文章の中にあった暗号解読という言葉が正にぴったりです。

また展示の中にもある藤森さんが本社を設計なさったお菓子メーカーのたねやさんの展示やカフェもあり間延びしない、時間をかけて楽しめる内容でした。

でもここまで苔などの自然素材があふれる展示は初めてでした。

そしてとてもいい香りでした。

 

見ていると実際の作品を見に行きたくなります。

暗号解読にはまだまだ先がありそうです。

 

夕暮れ時は。

アメリカの建築家ルイス・カーンは決まって夕暮れ時に事務所の窓際に立ち、外を眺めていたそうです。彼はその時間をとても大切にしていて、その時間は所員は誰一人として話しかけることはなかったそうです。

どういった理由で彼がその時間を大切にしていたかはわかりませんが、この時間がすごく魅力的で大切な時間だということははっきりわかります。

夏の西日は特に温熱環境の面であまり良くないのですが、それを超える魅力が夕焼けにはあると思います。快適に暮らしながらも生活の中の魅力はなくさないように設計をする必要があると思います。